2007年11月11日

「子ども心と町の空」

No.35

金「あ、そうだ。ペプシの当たりを見るのを忘れてた。どれどれ・・・。」
藤「こっちは“はずれ”だ。」
金「僕のも“はずれ”だ。なかなか当たらないね。」
森「おばちゃん、ぜんぜん当たらないよ。」

子供はいつも、次は必ず当たると期待している。
いや、子供だけではなく、大人でも“くじ”には夢を託している。今ははずれても次は当たる気がして、つい買ってしまう。当たるものは違っても、子供にはペプシ一本は大きな夢なのだ。

めくった栓を捨てるための専用のごみ缶があり、皆そこへ捨てた。
そこには捨てられたたくさんの栓がある。
金田はふと気がついた。
ひょっとして、めくらずに捨てた人がいるのでは。
ものは試しでおばちゃんに聞いてみた。

金「おばちゃん、この缶の中を探してもいい?」
お「ああ、いいけど、当たりはないと思うよ。」
金「やった。よっちゃん、かっちゃん、ちょっと待っててよ。」
森「いいけど、あるわけないじゃん。」
金「わからないよ。あったら皆で飲もうよ。」
藤「金田はあんまり運が良くないからなぁ。だめだと思うよ。」
金「なんだよ、冷たいなぁ。こうなったら全部見てやる・・・。」
森「え?それ全部探す気?」

金田は捨ててあるペプシの栓をめくり始めた。
当然のことながら、ほとんどがめくられてある。たまにめくられてない栓もあるが、全部はずれ。

金「う~ん・・・。」
お「そら、言ったとおり、当たりは無いと思うよ。今日はあきらめな。」
金「わかった、また明日来ていい?」
お「いいよ。何回でもおいで。」
金「ありがとう、またね。おばちゃん。」

三人はスズさんを後にした。

森「そうそう、明日早起きして山田のじっちゃんとこ行こうぜ。」
金「え?明日から走るの?」
森「あったり前だのクラッカー!ぜんはいそべやき!」


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