2007年11月04日

「子ども心と町の空」

No.33

森「ふぁ~、疲れたなぁ金田、足が棒みたいだ。のども渇いたし・・・。早くスズキさん行こうぜ。」
金「行こう行こう!体操服がびっしょりだから着替えてからだね。」
森「カッちゃんも行こうぜ。」
藤「いいよ。誰が一番早くスズキさんへ着くか競争しようか?」
金「え?また走るの?もう足があがらないよ。」
森「金田は持久力ないからな。今度早朝ジョギングでもやろうぜ。・・・そういえば山田のじっちゃんまだやってるらしいから、今度の日曜に行ってみようか。」
金「へぇ、山田のじっちゃんすごいよな。よく続くよね。・・・でも朝起きられるかな?」

通称、山田のじっちゃんは毎朝近くの川でジョギングをすることで有名である。
いつの間にか一緒にジョギングをする人が増え、日曜日には5キロほど先の浜辺でバーバキューをするのが定番となっている。金田は朝早く起きられるのだろうか・・・なにせこのじっちゃんは4時起きなのだ。

さておき、金田、森山、藤田の三人は、おのおの家で着替えをしてスズキさんへ向かった。
スズキさんにはいつものように、元気のいい名物おばちゃんがいる。
近所の子供たちは皆このおばちゃんを慕っている。

スズキさんについた金田は、砂漠で脱水症状になったゾンビのごとく、ふらふらした足取りでおばちゃんにペプシをせがんだ。

金「おばちゃんペプシちょうだい。栓もちょうだいよ。」
 「はいよ、わかってるよ。」

冷え切ったペプシの外側についた水滴のみずみずしさ、あの透き通った茶色、さわやかさを感じさせる炭酸の泡・・・。金田はひとつ唾を飲んだ。彼にとってこの瞬間は、このうえのない至福の時である。
瓶を手に取り、口に運ぶ・・・。喉を通り過ぎるこのたまらない一瞬に誰もが吠えたくなるのだ。
乾ききった喉をその液体が通り過ぎた瞬間。

金「ふぁぁぁぁぁ・・・・!」
森「ふぁぁぁぁぁ・・・・!」
藤「ふぁぁぁぁぁ・・・・!」

おばちゃん「・・・」


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