2010年09月13日

「金田くんの冒険記」

No.20

「あんまり親を心配させるんじゃないぞ。」
「え?」
「大魚を釣りたいからって、こんな沼に飛び込んで追っかけるなんて、無茶だぞ。」
「だって、どうしても釣りたかったんだもん。勝手に体が動くんだよ。」
「そうか、小さい時から好奇心があったからな、正は・・・。」
「あれ?そういえばここってどこ?天国?・・・僕死んじゃったの?」
「違うよ・・・。」
「だって、おじいちゃんがいるもん。」
「ははは、ワシが違うと言ってるんじゃ、ここは天国じゃない。」
「じゃぁ、どこなの?」
「まあ、気にするな。それよりおんぶしてやろうか?」
「う、うん!」

おじいちゃんの大きな背中は温かく、乗り心地が良く、とても懐かしい匂いがし、居心地がよく眠くなってくるのを感じた。

「家族に心配かけるなよ。」
「わかったよ・・・おじいちゃん。」

おじいちゃんの声にウトウトしながら答えた金田だったが、次第に意識は遠のいていった。

暫くゆったりとした時間が流れた・・・。

何か遠くの方で声が聞こえる。
だれ?
なんて言ってるの?
その声は次第にはっきりと聞こえるようになってきた。

「お~い、君!聞こえるか?」

もうろうとしていた金田も現実に引き戻されていった。
あれ?おじいちゃんの背中じゃない!?
声も違う・・・匂いも・・・。
それに寒い。

「お、気が付いたか?」
「え?おじさんだれ?」


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