2010年02月08日

「金田くんの冒険記」

No.7

「い、痛いよ、おば・・・おねえさん。」
「おばさんじゃないって言ったでしょう!」
「ご、ごめんなさい。」
「ふん、ちゃんと名前があるんだからね。・・・まあ、この際だから教えてあげるわ。」

この際ってなんだぁ?
今会ったばかりで、別に知りたくもないし・・・。
二人はそう思っていたが、そんなことは余所に彼女は話はじめた。
腰に手をおいて・・・

「私は、白川麗子よ。」
「ふ~ん・・・。」
「なにがふ~んよ、私が名乗ったんだから、あんた達も名乗りなさいよ。」
「え!?僕もですか?」
「当たり前でしょう。それが礼儀なんだからね。」
「はあ・・・、僕は金田正信って言います。」
「そう・・・そっちは?」

彼女はあごで藤田の方を指した。

「え?俺も言うの?」

藤田はちょっとムカついていたが、早く縁を切りたいのでしょうがなく名乗った。

「藤田勝也・・・。」
「へぇ、二人ともいい名前じゃないの。じゃ、ちょっと失礼。」

そう言って座り込み、焚き火にあたり始めた。
暫く沈黙が続いたが、金田は彼女の横顔が気になった。
火を見つけている様子が、さっきとはちょっと違うし、この人、やはり何か悩みがあるのかも知れない。
金田は自分の予想がまったくの勘違いでないと確信した事に、少し嬉しかった。
でも、悩みってなんだろうか・・・。
金田は更なる妄想に走った。


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