2009年08月11日

「子ども心と町の空」

No.85

「金田、抜かれちゃったぞ。」
「西田くん、すごいね。あんなに飛べるんだ!?」
「そうだな、あれでも自己記録は更新してないんだぜ。」
「そうなの?よっちゃん。」
「ああ。でも大丈夫だろ!今のお前の勢いなら抜けるさ!」
「そう・・・!?そうだよね。」
「そうだ。」
「なんか、飛べる気がしてきたよ。」

金田は眠りから覚めてからテンションが上がり、それにつられて女子たちも盛り上がった。

「頑張って、金田く~ん。優勝よぉ!」
「フレ!フレ!金田くん!」

この女子たちの応援に影響され、競技を終えた他校の選手たちも集まり、金田を応援し始めた。
さらに、他の競技はほとんど終わっていたため、噂を聞いた選手たちも幅跳びに集まってきた。
幅跳びの最後の試技は会場全体が見守る中で行われることになった。

「ねえ、沙希。なんでこんなに集まってるの!?」
「知らないわよ。」
「金田くんを見るためかなぁ?」
「そうだよ。大記録を見るためだよ、きっと。」
「金田くん、すごいね。」
「なんか、ドキドキしてきた。」
「私も・・・。」

一方、夏木はどうも金田の様子が変わったのが腑に落ちないようだ。

「金田、いつもの調子で行けよ。落ち着いて。」
「うん、なんか行けるような気がする。」

内山も、

「金田君!ガンバ!」
「ありがとう!内山君!行くよ。」

金田に緊張は全く無く、意気揚々とスタート位置に向かった。
ギャラリーも金田の大記録に期待し、声援の嵐となってしまった・・・。

「いや~、なんか盛り上がってるなぁ。いっちょやったるか!」

金田にはすでに迷いはなく自信に満ちていた。そして助走を開始した。


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