2008年03月02日

「子ども心と町の空」

No.46

バサバサ!
藪からものすごい勢いで飛び出してきた。

「出た~!」

皆はひどく驚いたが、飛び出してきたのは蛇ではなかった。
なぜか藤田が出てきた。

「なんだよ!脅かすなよな、藤田ぁ~。蛇かと思った~。」
「ごめん、よっちゃん。向こうに階段があったから見に来たんだよ。ちょっと怖かったけど。」
「え~、それじゃ誰も呼びに行ってないじゃん。どうすんだよ。」
「3人で運べば大丈夫だよ。」
「ん~、それもそうだな。」
「それよりマコトは大丈夫か?」
「捻挫したみたいなんだ。」
「そうか・・・今日はなんか嫌な予感がしたんだよ。」
「藤田は感がいいからな。霊感があるんじゃないか?ひょっとして幽霊が見えるとか・・・。」
「まさか!見えるわけ無いっつうの!」
「そうだよな・・・。ははは。」
「かっちゃん、よっちゃん、それより早くマコト君を運ぼうよ。」
「そうだな。どうやって運ぼうか・・・。」
「担架を作ろうか?」
「担架?材料になるものは無さそうだぞ。」
「ん~、じゃどうする。なんとか3人で担いでみる?」
「よしそうしよう。金田は頭、藤田は足。おれは体を支えるよ。」

3人は夏木を担ぎ始めた。
人を運ぶのは思ったより大変な仕事である。

「結構重たいなぁ、マコト。ちゃんと持てよ、金田。」
「よっちゃんこそちゃんと持ってよぉ。」

ふらふらしながらも歩き始めたが、3人は重大な事に気がついた。
この滑りやすい坂は登れない・・・。

「そう言えばかっちゃん、橋の向こうに階段があったって言ったよね。」
「そうだよ・・・でもまた嫌な予感がしてきた。」
「来るときは大丈夫だったんだよね。」
「来るときはね・・・。」

3人は例の噂がある橋の下の藪を行くことになるのか。


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